Jabra Elite 85t レビュー! イヤホン本体をソフトウェア面から細かくチェック ~AirPods Proと比較あり~

11月12日に発売となったJabraのノイズキャンセリング機能付き完全ワイヤレスイヤホン、Jabra Elite 85tを発売当日に購入しましたので、ご紹介します。4回目の記事に引き続いて、5回目もイヤホン本体についての紹介となります。

本ページでの紹介内容

今回は、Jabra Elite 85tのイヤホン本体に搭載されているソフトウェアをご紹介します。イヤホン本体では、様々な働きを行うソフトウェアが動いているのですが、それぞれの働き毎に紹介します。なお、項目によって比較対象にAirPods Proを挙げて、両者の違いなどを含め細かく紹介しています。

Bluetoothバージョン

Jabra Elite 85tが対応しているバージョンは、5.1になっており、2020年11月時点では最新のBluetooth規格を採用しています。

AirPods Proとの比較

一方で、AirPods Proではどのバージョンが対応しているのかを調べると、5.0に対応をしていることが分かりました。

Bluetooth5.0と5.1とは?

Bluetooth5.0の特長は、それ以前の4.2と比べて、通信速度が2倍、通信距離が4倍、通信容量は8倍になったとされており、また低電力消費でもあるため、イヤホン本体のバッテリー駆動時間の長時間化に大いに寄与しているものと考えられます。また、Bluetooth 5.1には5.0の機能に加えて、方向探知機能が追加されています。方向探知機脳をどんなことに使うのか、ということになりますが、これはイヤホン本体を失くしてしまった時に、そのありかを探す時に役立つことになります。この点に関しての解説は、また別の記事にて行いたいと思います。

上記の情報についての参考サイトのリンクを貼っておきます。

対応Bluetoothプロファイルとバージョン

Jabra Elite 85tが対応しているBluetoothプロファイルとそのバージョンは、

HSP → v1.2 HFP → v1.7 A2DP → v1.3 AVRCP → v1.6 SPP → v1.2

となっています。それぞれ対応プロファイルの働きを調べると、

  • HSP → Bluetooth対応ヘッドセットを接続する。パソコンと接続して会話を行うほか、携帯電話との接続にも使用。
  • HFP → ハンズフリーを使用する。パソコンと接続して会話を行うほか、Bluetooth®対応携帯電話との接続にも使用。
  • A2DP → Bluetooth対応ワイヤレスヘッドセットなどのオーディオ機器と音声データをやりとり
  • AVRCP → 再生・停止などのAVリモコン機能
  • SPP → Bluetoothワイヤレステクノロジー接続を用いた仮想的なシリアルポート接続による通信。

となっていました。これらを実使用ベースに落とし込んで紹介すると、

私が持っているiPhoneにJabra Elite 85tを接続するために、HSPプロファイルが必要になり、

接続したiPhoneでの電話の会話を85tのイヤホン本体を通して行うために、HFPプロファイルが必要で、

接続されたiPhoneやApple Watchで音楽を聴くときに音楽データのやり取りには、A2DPプロファイルによって実行されており、

再生している楽曲の音量の上げ下げや一時停止、楽曲のスキップをイヤホン本体をリモコンとして操作をするのが、AVRCPプロファイルの役割になっていて、

ノイズキャンセリングの強度の調整やリモコン操作の割り当てカスタマイズ、イヤホン紛失時の位置情報取得など、専用アプリを通して高度なデータのやり取り・設定変更などを対応するのは、SPPプロファイルのお役目になっています。

プロファイル情報を参考にしたプリンストン社サイトのリンクを貼っておきます。

AirPods Proとの比較

ちなみに、AirPods Proが採用しているBluetoothプロファイルは情報がありませんでしたが、利用できている機能から想像するに、85tとほぼ同じプロファイルが採用されていると思われます。

オーディオコーデック

Jabra Elite 85tがサポートしているオーディオコーデックは、SBCとAACになります。Androidスマホで採用されていることの多いaptXには対応していないことが分かっています。

SBCとは?

SBC(正式名称:SubBand Codec)はBluetoothデバイスすべてに採用されている標準コーデックとなりますが、音質はあまりよくありません。簡単にいうと、楽曲が薄っぺらく聞こえる感じになります。

AACとは?

AAC(正式名称:Advanced Audio Coding)は主にAppleデバイスの音楽コーデックに採用されており、SBCよりも高音質になっているとされています。なお、AACはApple系デバイスだけでなく、コンシューマー向けゲーム機や地上デジタル放送など、多岐にわたってサポートされている音声符号化規格になっています。

AAC非対応のデジタルオーディオプレーヤーやスマホを持っている人が、完全ワイヤレスイヤホンの新規購入や買い替えの際に音質を重視して購入したいと考えているのであれば、Jabra Elite 85tはその希望を満たす製品にはならないかもしれませんので、一度店頭にある試聴可能なデモ機でSBCコーデックになった際の試し聴きをした方が良いと思います。

AirPods Proとの比較

AirPods Proで採用しているオーディオコーデックは、85tと同様、SBCとAACになっていました。従って、2機種間に明確な違いはありません。

オーディオコーデックについてエレコム社のサイトが詳しく解説していたので、リンクを貼りました。

アクティブノイズキャンセリング(ANC)

ANC専用プロセッサ

Jabraは、同社が展開する完全ワイヤレスイヤホンシリーズの新たなフラッグシッププロダクトとなるElite 85tのために、ノイズキャンセリング専用のICチップを搭載し、Jabraアドバンスド アクティブ ノイズキャンセレイションという名前を付けて、その性能をPRしています。ANC専用プロセッサが担う役割として公表されているのが

  • フィードフォワードとフィードバックの両方の独立したマルチステージフィルタ構成
  • オーディオ専用の内蔵 6 バンドイコライザーパス
  • 低遅延の信号処理

となっています。しかし、具体的にどう作用しているのかはちょっと素人には分からないところではあります。

でも、我々素人にとって分かりやすいものがちゃんとあって、Jabraアドバンスド アクティブ ノイズキャンセレイションにおいては、Jabraの専用アプリにてANCの強度をユーザー側で選択することができるので、ユーザーにとっては自分の好きな強度を探ることができるとても便利な機能だと思いますし、実際今回私が購入する際に評価したところになります。

ANC強度を5段階で調整が可能

AirPods Proとの比較

一方、AirPods Proにおいても、アクティブノイズキャンセリング機能についての説明があり、

  • 毎秒200回ノイズキャンセリングの調整を行っている
  • リアルタイムでノイズキャンセリングするために、Apple製のH1チップは10個のオーディオコアを採用

と謳っていました。

両者が有するANCの優劣を体感した上で判定すると

(判定の前提条件として、両者いずれも自分の耳にイヤホン本体がぴったりと密着している状態にしています。少しでも隙間ができていると、そこからノイズが耳の中に入り込んでしまうので、正しい比較をすることが難しくなってしまう点はご注意ください。)

11/25時点のAirPods Proのファームウェア3A283と、Jabra Elite 85tのファームウェア1.27.0で比較をすると、Jabra側がAirPods ProよりもANC機能によるノイズ除去や軽減の程度がより優れていることを実感しています。具体的な比較ですが、通勤に利用している公共交通機関で検証し、

  • 外を出歩いている際に、目の前を大排気量の大型自動車が通り過ぎる時に聞こえるエンジンから発せられる大音量の騒音
  • バス乗車時にブロロロという唸るような低いバスのエンジン音
  • プラットホームにブレーキを掛けながら入線してくる地下鉄車両の車輪がレールにぶつかって発せられる衝撃音
  • 地下鉄乗車時に、車輪がレールの回転し前進する時やカーブなどでこすれて発せられる騒音

これらの騒音において、AirPods Proでは除去もしくは軽減されずに伝わっていた騒音をJabra側では除去または軽減できていました。外を出歩いている時にすれ違う普通乗用車程度のエンジン音となると比較的早い速度で通過する際には、エンジンから伝わる程々な大きな騒音がしているはずですが、それらのノイズは除去されており、耳に伝わってくるのは遠くから近づいてくる普通自動車の動きと共に、サーッという音が目の前を流れていく、という程度にまでノイズのキャンセルがなされています。

AirPods Proファームウェア2D27では良い勝負

数週間前に、AirPods Proを無償交換した際に、ファームウェアが2D27だった状態で数日ANCの質を改めて体感できているため、そのパフォーマンスとJabraのそれと比較すると、高いレベルのANCを両者提供ができており、良い勝負だと感じました。

ANCパフォーマンスが乱高下のAirPod Proに辟易しJabraを購入

AirPod Proで完全ワイヤレスイヤホンの良さを体験し、発売当初のファームウェアが強力すぎるともいえたANCの効き具合に惚れ込んだ私が、今回Jabra Elite 85tを購入した1つの要因として、ユーザー側では高いレベルでのANCを維持してくれるものだという思い込みとそうあって欲しいという希望を持っているのに、ファームウェアのアップデートを繰り返す度に、そのパフォーマンスが乱高下してしまうというApple側の対応の悪さの中でも、1ユーザーとして不満を感じながらも使い続けることで、ほとほと疲れてしまったというのが正直なところです。

Appleにはまともなノイズキャンセルの技術研究開発チームはいないのではなかろうかというくらい、悪名高き2C54ファームウェアでどん底に叩き落されたANCの質の悪さを感じていましたし、2D27でせっかく満足度の高いANCに戻ったのに、3A283でまた質が悪くなったりという、そんな調子です。

そこで、Jabraの完全ワイヤレスイヤホンシリーズは完成度が高いという評価を各メディア、YouTuber、個人ブロガーがしている中で、85tで初めてフル規格のノイズキャンセル技術を投入するJabraに期待して、大枚をはたいて購入した訳でありました。

これまでに紹介したAirPods ProとJarbra Elite 85tのノイズキャンセルのパフォーマンスを下の図において棒グラフで表してみました。ANCパフォーマンスは私個人の主観になりますのであしからずご了承ください

紫色の棒グラフがAirPods Proであり、棒グラフの遷移を見ていただくとその乱高下ぶりがお分かりいただけると思います。3A283の次に来るであろうファームウェアによって、ノイズキャンセルのパフォーマンスが上向きになるのか、下向きになるのか、ユーザー側ではまったく想像ができないというのが、私の中でAirPods Proに対する評価を著しく落としているところです。

願わくば、Jabra Elite 85tのノイズキャンセルのパフォーマンスは、横ばいで構わないので、高レベルのANCをずっと提供していただきたいと切に願っているところです。

外部音取込み

イヤホンを装着したまま、生活する中で周りの音や人の声をちゃんと聞き取りをしたい場面には、この外部音取り込み機能が役立ちます。Jabra Elite 85tにおいてもこの機能は実装されています。そして、ANCの時と同様、専用アプリを介して、外部音をどれ位取り込みをするのかの調整を行うことができます。気になるパフォーマンスの方はというと、必要十分になっていて、音楽を聴きながら外部音取込みモードを最高段階で有効にしても、両方の音がちゃんと聞こえてくることを実感しています。

外部音取込みも5段階で強度調整ができる

AirPods Proとの比較

一方、AirPods Proでも外部音取込みモードは実装されており、そのパフォーマンスはANCのそれと比べると安定して高水準を現ファームウェア(3A283)でも保てています。本機能に関しては、両者にそれほど大きな違いはないかと思います。

ペアリングデバイス数

Jabra Elite 85t にて、ペアリングできるデバイスは最大8台になります。個人的な感想ですが、これだけあれば個人利用の場合、十分かなと思います。

AirPods Proとの比較

一方、AirPods Proにおいては、複数台(具体的には、iPhone、Apple Watch、ZX300の3台)のペアリングができていることを確認していますが、最大数は不明です。

マルチポイント対応

Jabra完全ワイヤレスイヤホンシリーズでは、Eliteシリーズの3製品、Elite Activeの2製品すべてにおいて、最大2台までのマルチポイントに対応しています。

マルチポイントとは?

Jabra Elite 85tのイヤホンにペアリング済のデバイス(具体的には私の場合になると、iPhone、Apple Watch、ZX300の3台)のうち、最大2つのデバイスと常時接続した上で、切り替えることなく通信することができる状態に対応をしていることを指しています。

スマホを2台マルチポイント接続をすると、どちらのスマホに電話がかかってきたとしても、応答することができます。(さすがに同時に会話をすることまではできませんが…)別の例を挙げると、iPhoneで音楽を聴きながら、ZX300に入ってる楽曲を聴きたくなったら、iPhone側の音楽再生を一時停止した後で、ZX300で再生すると音楽が聴けるというものになります。

大事なことは同時接続状態を可能にしていることになり、同時再生や同時会話までは対応をしていない、という点になります。

AirPods Proとの比較

AirPods Proでは、マルチポイントの対応は行っておりませんが、iOS14からは、同じiCloudアカウントでサインインしているAppleデバイス間においては、ユーザー側で接続切替することなく自動で切り替えを行う機能が新たに加わっており、これが条件付きではありますが半ばマルチポイント対応と謳っても良いのかもしれません。ただし、あくまでAppleデバイスにのみ限定されることだけは念頭に置いておく必要があります。

自動電源オフ

Bluetoothデバイスと接続がない状態で放置されていると、一定時間の経過でバッテリー消費を抑えるため、スリープモードに移行することが可能です。その際に一定時間をどれ位とするのかは、専用アプリで調整することになりますが、具体的に設定できる時間は以下になります。

15分、30分、1時間、2時間、オフの5つの選択肢

AirPods Proとの比較

少し調べてみましたが、AirPods Proには同様の機能は実装されていないかと思います。

音楽再生自動停止

ユーザーマニュアルより引用

Jabra Elite 85tでは、左右のイヤホンをどちらか片方だけでも耳から取り外すと、すぐに再生されている音楽が自動的に停止となります。また、上のユーザーマニュアルに記載がありますが、片耳を外してから60秒以内に再び装着すると、音楽の一時停止が解除され、再生が始まります。

AirPods Proとの比較

AirPods Proにおいても、イヤホン本体の耳に接する部分に、光学センサーが左右にそれぞれ設置されており、このセンサーで人の耳から外されたことを感知すると、音楽再生が自動的に停止となる機能を有しています。

片方だけ着用して使用

Jabra Elite 85tがAirPods Proに負けているのがこの項目になりますが、右耳のみ片耳利用が可能です。残念ながら、左耳のイヤホン単体での利用は不可になっています。

AirPods Proとの比較

AirPods Proは、左右どちらか片方だけでも、音楽再生や電話応答に対応しています。この点は、85tに勝っている項目になります。

風切音軽減

ソフトウェアでの対応として、最先端のウインドノイズ低減アルゴリズムが実装されており、電話での会話に支障のないような工夫が施されています。

AirPods Proとの比較

少し調べてみましたが、ソフトウェアレベルでの風切音対策がされている記述を公式サイトでは見つけることができませんでした。

以上で、イヤホン本体をソフトウェア面からチェックする記事は終わります。次回は、Jabra Elite 85tの設定に用いるJabra独自アプリのSound+について深く掘り下げる予定です。