11月12日に発売となったJabraのノイズキャンセリング機能付き完全ワイヤレスイヤホン、Jabra Elite 85tを発売当日に購入しましたので、ご紹介します。3回目の記事に引き続いて、4回目もイヤホン本体についての紹介となります。
目次
内部構造パーツの特徴をピックアップ
今回は、Jabra Elite 85tのイヤホン本体内部パーツにどんなものがあり、またそれらパーツの役割や特徴をご紹介します。なお、項目によって比較対象にAirPods Proを挙げて、両者の違いなどを含め細かく紹介しています。
バッテリー
最初に紹介しますのは、イヤホン本体の内部にあるバッテリーです。上の画像では中央にある円形のパーツで黄色に光っているものになります。
バッテリー素材
充電式リチウムイオンバッテリー
バッテリー駆動時間の長さ
Jabra Elite 85t が採用しているバッテリーのパフォーマンスですが、フル充電されたイヤホンが音楽再生時にどれくらい長い時間使用を続けることができるとかというと、
- ノイズキャンセル機能がオンの場合 → 5.5時間 + 充電ケースでの再充電により19.5時間 = 最長25時間
- ノイズキャンセル機能がオフの場合 → 7時間 + 充電ケースでの再充電により24時間 = 最長31時間
とメーカーが公称しています。
AirPods Proとの比較
一方で、AirPods Proの音楽再生時には
- ノイズキャンセル機能がオンの場合 → 4.5時間
- ノイズキャンセル機能がオフの場合 → 5時間
使い続けることができると、メーカーが公称しています。また、充電ケースでの再充電によって24時間は連続使用が可能と明示されています。
下のグラフで、イヤホン単体での音楽再生できる時間を比較していますが、Jabra Elite 85t は、AirPods Proよりも、ANC(アクティブノイズキャンセリング)ON/OFF問わず、より長い時間再生することができ、またANCをオフにした時の音楽再生時間の伸びがAirPods Proよりも多い結果となりました。
細かく比較すると、ANCオンの際はJabra Elite 85tの方が、AirPods Proよりも駆動時間が22%増しており、ANCオフとなると、40%増しています。また、AirPods Proでは、ANCのオンとオフの時間の差がたった30分くらいしか違わない一方で、85tの方はというと1時間30分も差が生じているというのも特徴的でした。
バッテリーのフル充電までにかかる時間の長さ
次に、バッテリーを使い切った後でフル充電できるまでにかかる時間を調べたところ、メーカーの技術資料上での説明では、
- 専用のUSB 充電器 (500mA) による充電だと最長 3 時間で完全充電
- ワイヤレス充電だと3.5時間で完全充電(気温25℃の環境下という条件付き)
とメーカーが公称しています。気になるのが、メーカーが示す専用USB充電器(500mA)がどんなものなのかが不明です。Jabra Elite 85tの製品パッケージの中には、USB-Cケーブル1本しか付属しておらず、専用充電器は入ってはいません。また、時間提示についても最長でという表現がつけられているので、実質的なところは自分でちゃんと調べてみないと分からない状況です。
AirPods Proとの比較
一方、AirPods Proでは、自分で検証したところ、1時間でフル充電ができた実績があるので、その時の検証記事リンクを参考までに貼り付けます。
急速充電対応とパフォーマンス
外出中にイヤホンのバッテリーが少なくなって使用できなくなってしまった際に、Jabra Elite 85tでは急速充電に対応しているので、充電設備のある店舗や新幹線・高速バスなど交通機関での一時的な充電でしばらくは再利用できるようになっています。そして、急速充電自体のパフォーマンスについては、充電保管ケースにイヤホンを戻し入れてから15 分間充電した場合、最長 60 分間の使用ができるまで充電されます。
AirPods Proとの比較
AirPods Proも同様に急速充電に対応をしており、充電保管ケースで5分間充電すれば、約1時間の再生時間ができると公称しています。
バッテリーのまとめ
これまでに比較をしてきたことを振り返ると、Jabra Elite 85tはAirPods Proよりもバッテリーの持ちが良いことになりますが、一方で85tのバッテリー自体の容量がAirPods Proのそれよりも大きいためか、再充電に必要な時間もより長くかかってしまうようです。また、急速充電のパフォーマンスも1時間利用できるまで充電に必要な時間が、最大でAirPods Proの3倍もかかってしまう(要検証)ということが分かりました。
過去の比較記事を含めて、多くの面で両者を比較してきましたが、85tのデメリット面が浮き彫りになったのは今回が初めてだと思います。
ドライバーユニット
Jabra Elite 85tのドライバーユニット(イヤホン内部パーツの1つで、音楽の再生や電話での会話など音を発するスピーカーにあたる部品)は、75tのものと比べて2倍の大きさとなる12mm径のダイナミック型が搭載されています。上の画像では銀色で円形になっているパーツになります。
75tと比べて2倍の大きさになったドライバーユニットがもたらす効果として、より大きなドライバーユニットでオーディオの出力がなされると、再生される音楽のパフォーマンスの伝わりもさらにパワーアップするとされています。
正確に説明すると、ダイナミック型ドライバーの構造体である振動板(ダイアフラム)が大きければ大きいほど音質向上につながり、また低音の迫力も増すということです。ダイナミック型ドライバーユニットの仕組みについて、参考にしたオーディオテクニカのWebページを貼っておきます。
AirPods Proとの比較
一方、AirPods Proのドライバーユニットについて調べてみると、下のリンク先にあるイヤホン本体の分解記事の中で、円形のドライバーユニットを搭載していることが分かり、ダイナミック型のドライバーユニットであると想像できますが、あいにくドライバーの大きさが分かるような記事を見つけることができず、Jabra Elite 85tと比較することが叶いませんでした。
マイク
イヤホン本体の外観を紹介する記事でも投稿しましたが、イヤホン本体にはメーカーによる説明では左右のイヤホン合わせて6つのマイクを内蔵していると伝えられていました。しかし、イヤホン本体を外側から見ただけでは6つあるというマイクを見つけることができていませんでした。
3つのマイクパーツ設置場所
そこで今回イヤホン内部の構造パーツについて、深く調べてみたところ、イヤホン片側に3つあるというマイクを発見することができました。
上記の解説文と共に、内部パーツの構造を分解した写真が掲載されていますが、その中で黄色で丸く示されているのがマイクパーツとなっており、3つ設置されていることが分かりました。内部パーツ全体の構造を分解した写真に自分でマイクパーツのみを分かりやすくポイントしてみた写真を下に貼りました。
イヤホン本体を外観からチェックした記事で記載しましたが、本体の下部に空いている細かい穴の集合している2箇所(7個と31個)の奥底にちょうど上の図の1と2のマイクが位置していることが分かります。
また、耳の内側で発生したノイズを検知するフィードバックマイクも、全体のパーツ分解画像の3に設置されていることが判明しました。結論として、本体内部の構造パーツとして設置されていたので、外観からは見つからないのは当然ですね。
AirPods Proとの比較
AirPods Proにもマイクが設置されています。具体的な場所ですが、上の写真にあるようにイヤホン本体の外側と内側にそれぞれ1つずつ用意されています。よく見てみると、マイクの表面に塵などの異物混入を防ぐために網目模様のフィルタで保護されているのが分かります。
マイク3個に割り当てられた機能
片側に3つ、左右合わせて6つ設置されているマイクには、それぞれ割り当てられている役割があります。ここではあらためて図解のために発分解画像を貼って、役割を紹介したいと思います。
アクティブノイズキャンセリング向け
外部ノイズを拾うのは、マイク1(フィードフォワード)が使用され、耳の内側で発生するノイズにはマイク3(フィードバック)で検知できるようになっています。
通話向け
通話品質の向上のために使用されているマイクについて、明確な説明はありませんが、下記メーカー公式サイトによる説明文から、片側3つ左右で6つのマイクのすべてが利用されていると考えられます。
ANC専用プロセッサ
詳しくは、次回のソフトウェアについての紹介記事で紹介しますが、JabraがElite 85tの為だけに独自で用意したアクティブノイズキャンセリング専用のプロセッサも内蔵されています。
上記画像の説明にあるように、非常に多くの役割がこの専用設計されたプロセッサに割り当てられています。
内部パーツ配置のまとめ
これまでに紹介した内部パーツが本体内のどこに配置されているのかを図解します。
- マイク(通話品質向上に寄与)
- ANC専用プロセッサ
- マイク(ノイズキャンセリングと通話品質向上に寄与)
- バッテリー
- 12mmドライバーユニット
- マイク(ノイズキャンセリングと通話品質向上に寄与)
上記で紹介した以外にも内部パーツがあって、それらすべてがコンパクト設計された85tのイヤホン本体に内蔵されているのが、とても驚きです。
以上で、内部パーツについての説明は終わりです。次回は、イヤホン本体で対応しているソフトウェアについて紹介する予定です。