6月25日に販売されたSony製完全ワイヤレスイヤホンのフラッグシップモデルとなるWF -1000XM4を発売当日に購入しましたので、ご紹介します。3回目の記事に引き続いて、4回目もイヤホン本体についての紹介となります。
- 第1弾 保管ケースと付属品
- 第2弾 イヤーピース
- 第3弾 イヤホン本体(外部パーツ)
- 第4弾 イヤホン本体(内部パーツ)
- 第5弾 ソフトウェア
目次
この記事で紹介する内容
今回は、WF-1000XM4のイヤホン本体内部パーツにどんなものがあり、またそれらパーツの役割や特徴をご紹介します。なお、項目によって比較対象にAirPods ProとJabra Elite 85tを挙げて、それぞれとの違いなどを含め細かく紹介しています。
バッテリー
最初に紹介しますのは、イヤホン本体の内部にあるバッテリーです。上の画像では矢印で示している銀色の円形のパーツになります。
バッテリー素材
充電式リチウムイオンバッテリー
バッテリー駆動時間の長さ
WF-1000XM4 が採用しているバッテリーのパフォーマンスですが、フル充電されたイヤホンが音楽再生時にどれくらい長い時間使用を続けることができるとかというと、
- ノイズキャンセル機能がオンの場合 → 8時間 + 充電ケースでの再充電により16時間 = 最長24時間
- ノイズキャンセル機能がオフの場合 → 12時間 + 充電ケースでの再充電により24時間 = 最長36時間
とメーカーが公称しています。
*1 完全ワイヤレスモデルはケース充電を含む。コーデックはAAC。DSEE Extreme/イコライザーの搭載モデルはOFF設定時、またその他機能は全て初期設定時
*2 コーデックはAAC、ノイズキャンセリング機能ON時、DSEE Extreme/イコライザー搭載モデルはOFF設定時、またその他機能は全て初期設定時
Jabra Elite 85tとの比較
Jabra Elite 85t が採用しているバッテリーのパフォーマンスですが、フル充電されたイヤホンが音楽再生時にどれくらい長い時間使用を続けることができるとかというと、
- ノイズキャンセル機能がオンの場合 → 5.5時間 + 充電ケースでの再充電により19.5時間 = 最長25時間
- ノイズキャンセル機能がオフの場合 → 7時間 + 充電ケースでの再充電により24時間 = 最長31時間
とメーカーが公称しています。
AirPods Proとの比較
一方で、AirPods Proの音楽再生時には
- ノイズキャンセル機能がオンの場合 → 4.5時間
- ノイズキャンセル機能がオフの場合 → 5時間
使い続けることができると、メーカーが公称しています。また、充電ケースでの再充電によって24時間は連続使用が可能と明示されています。
3機種での比較グラフ
下のグラフで、イヤホン単体での音楽再生できる時間を比較していますが、WH-1000XM4は、Jabra Elite 85t とAirPods Proよりも、ANC(アクティブノイズキャンセリング)ON/OFF問わず、より長い時間再生することができ、またANCをオフにした時の音楽再生時間の伸びが他の2機種と比べて良い結果となりました。
細かく比較すると、ANCオンの際はJabra Elite 85tよりも駆動時間が31%増となり、AirPods Proよりも駆動時間が43%増しておりました。
また、ANCオフにすると、Jabra Elite 85tよりも駆動時間が41%増となり、AirPods Proと比べると58%増えるという結果となり、ANCオンの時よりも10%以上の伸び率となっています。
以上の結果より、WF-1000XM4のバッテリー駆動時間は、他の2機種と比べても圧倒的なコスパの良さがあると言えるのではないでしょうか?
バッテリーのフル充電までにかかる時間の長さ
次に、バッテリーを使い切った後でフル充電できるまでにかかる時間を調べたところ、メーカーの仕様ページでの説明では、約1.5時間とメーカーが公称しています。
Jabra Elite 85tとの比較
メーカーの技術資料上での説明では、
- 専用のUSB 充電器 (500mA) による充電だと最長 3 時間で完全充電
- ワイヤレス充電だと3.5時間で完全充電(気温25℃の環境下という条件付き)
とメーカーが公称しています。
AirPods Proとの比較
一方、AirPods Proでは、自分で検証したところ、1時間でフル充電ができた実績があるので、その時の検証記事リンクを参考までに貼り付けます。
3機種を比較した結果、AirPods Proが最も短時間で充電が終わる結果となりましたが、バッテリー駆動時間の長さとの兼ね合いもあるため、WF-1000XM4もそこそこ良いパフォーマンスを示しているように感じました。
急速充電対応とパフォーマンス
外出中にイヤホンのバッテリーが少なくなって使用できなくなってしまった際に、WF-1000XM4では急速充電に対応しているので、充電設備のある店舗や新幹線・高速バスなど交通機関の座席についている電源コンセントでの一時的な充電でしばらくは再利用できるようになっています。そして、急速充電自体のパフォーマンスについては、充電保管ケースにイヤホンを戻し入れてから5分間充電した場合、最長60分間の使用ができるまで充電されます。
Jabra Elite 85tとの比較
一方、Jabra Elite 85tでも急速充電に対応、そのパフォーマンスは、充電保管ケースにイヤホンを戻し入れてから15 分間充電した場合、最長 60 分間の使用ができるまで充電されます。
AirPods Proとの比較
AirPods Proも同様に急速充電に対応をしており、充電保管ケースで5分間充電すれば、約1時間の再生時間ができると公称しています。
3機種を比較しての急速充電のパフォーマンスについて、AirPodsProと同じ結果になっており、明確なアドバンテージはありませんでした。
バッテリーのまとめ
これまでに比較をしてきたことを振り返ると、WF-1000XM4はJabra Elite 85tやAirPods Proよりもバッテリーの持ちが非常に良いことになり、また急速充電のパフォーマンスも及第点を出しているように思いました。ただし、バッテリーを長持ちさせるための前提条件(各種音質調整機能やコーデックの違い)があるため、実際の利用シーンにおいては、より良い音質での音楽鑑賞をすると、駆動時間がもう少し短くなるのではないかと思われます。
ドライバーユニット
ドライバーユニットがもたらす効果として、より大きなドライバーユニットでオーディオの出力がなされると、再生される音楽のパフォーマンスの伝わりもさらにパワーアップするとされています。
正確に説明すると、ダイナミック型ドライバーの構造体である振動板(ダイアフラム)が大きければ大きいほど音質向上につながり、また低音の迫力も増すということです。ダイナミック型ドライバーユニットの仕組みについて、参考にしたオーディオテクニカのWebページを貼っておきます。
WF-1000XM4のドライバーユニットは、先代モデルと比べて磁石体積を拡大し、より高性能の振動板を採用した専用設計6mmドライバーユニットにより、低音域の再生能力の向上があったとメーカー公式サイトで伝えられています。またドライバーユニット自体で、高精度なキャンセル信号を低音域まで生成することができ、低音域のノイズキャンセリング効果を高めているということで、ドライバーユニット側にもノイズキャンセル機能を持たせられるというのは驚きでした。
Jabra Elite 85tとの比較
Jabra Elite 85tのドライバーユニットは、WF -1000XM4の2倍の大きさとなる12mm径のダイナミック型が搭載されています。
AirPods Proとの比較
一方、AirPods Proのドライバーユニットについて調べてみると、下のリンク先にあるイヤホン本体の分解記事の中で、円形のドライバーユニットを搭載していることが分かり、ダイナミック型のドライバーユニットであると想像できますが、あいにくドライバーの大きさが分かるような記事を見つけることができず、他2機種と比較することが叶いませんでした。
ドライバーユニットの違いがもたらすのは、音質に代表されるということですが、人それぞれで感じ方が異なるものになるので、この記事では言及はしません。ただし、WF-1000XM4のドライバーユニットでもノイズキャンセル機能があるということが分かり、その点が他の機種との違いになっているかもしれません。
マイク
ANC機能が備わっている完全ワイヤレスイヤホンにはノイズを拾うためのマイクが配置されています。さらに、通話する時の声も拾う大事なパーツになっています。
マイクパーツ設置場所
そこで今回イヤホン内部の構造パーツについて、調べてみたところ、イヤホン片側に2つあるというマイクを発見することができました。
上記の図解で示されている黄色の部分がマイクパーツとなっており、それぞれフィードバックとフィードフォワードという名称になっています。フィードフォワード側では外部音、フィードバック側では耳穴内部のノイズをキャッチし、後で紹介するV1チップ側でデジタルデータ化した上で、ノイズ除去のための音を高精度で発生させてノイズを打ち消すというANCの仕組みにおいて、2つのマイクは大事な役割を担っています。内部パーツ全体の構造を分解した写真にマイクパーツの配置場所を丸で囲ってみました。
1がフィードフォワードマイク、2が向かって奥に位置していますが、フィードバックマイクのある箇所になります。
Jabra Elite 85tとの比較
Jabra Elite 85tでは、マイクが3つ設置されていることが分かりました。1と2がフィードフォワードマイクで、3がフィードバックマイクになっていました。
AirPods Proとの比較
AirPods Proにもマイクが設置されています。具体的な場所ですが、下の写真にあるようにイヤホン本体の外側と内側にそれぞれ1つずつ用意されています。よく見てみると、マイクの表面に塵などの異物混入を防ぐために網目模様のフィルタで保護されているのが分かります。
マイク2×2個に割り当てられた機能
片側に2つ、左右合わせて4つ設置されているマイクには、それぞれ割り当てられている役割があります。
アクティブノイズキャンセリング向け
外部ノイズを拾うのは、マイク1(フィードフォワード)が使用され、耳の内側で発生するノイズにはマイク2(フィードバック)で検知できるようになっています。
通話向け
通話品質の向上のために使用されているマイクについても、ANCと同じマイクが利用されています。さらに下の図版にあるように、ビームフォーミングという技術で自分が話す声にマイクの音を拾う方向を集中させて、話し声をより拾いやすくするなっています。
骨伝導センサー
WH -1000XM4にあって、他の2機種にない機能として、通話品質を高めるパーツで骨伝導センサーもイヤホン本体の内部に配置されています。
参照サイト
骨伝導センサーの詳しい設置場所については、下記リンク先のサイトで確認いただけます。
Bluetoothと音質・ノイズキャンセル機能の統合プロセッサー
WF -1000XM4専用に設計・開発されたプロセッサーは高性能。
- ノイズ除去を低遅延で実行
- 高音域でのノイズキャンセル機能の向上
- 音の解像度の向上
- バッテリー消費電力の低減
これだけの機能をこのV1プロセッサーで実現しています。
参照サイト
V1プロセッサーの性能については、下記リンク先のサイトにある開発者インタビューで紹介されています。
内部パーツ配置のまとめ
これまでに紹介した内部パーツが本体内のどこに配置されているのかを図解します。
- V1プロセッサー
- フィードフォワードマイク
- バッテリー
- フィードバックマイク
- 6mmドライバーユニット
以上で、内部パーツについての説明は終わりです。次回は、イヤホン本体で対応しているソフトウェアについて紹介する予定です。
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