【Apple純正】高額なリンクブレスレットの素材は何?

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【更新履歴】5/25 ダイヤモンドライクカーボンの説明、汗でかゆくなったりかぶれたりしないか?の項目を追加

安くても37,800円(税別、シルバー、2020年5月25日時点)という、Apple Watchのバンドとしては高額となる、Apple純正リンクブレスレットについてご紹介です。

ちなみに、私は昨年11月に、上の画像に移っているスペースブラックリンクブレスレット(定価48,800円税別、2020年5月25日時点)のバンドを思い切って購入しました。

それでは、リンクブレスレットの素材について、紐解きたいと思います。

Apple公式のリンクブレスレット解説文

ケースと同じ316Lステンレススチールアロイで精巧に作られたリンクブレスレットです。

パーツの数は100を超えます。

機械加工のプロセスは実に緻密で、一つのバンドのリンクをカットするのに9時間近くを費やします。

専用のバタフライバックルは、ブレスレットの中にきれいに折りたたむことができます。

一部のリンクにはシンプルな取り外しボタンがついているので、特殊な工具を使わなくても、リンクを加えたり外したりすることができます。

スペースブラックのステンレススチールにはダイヤモンドライクカーボン(DLC)をコーティングし、独特な表情を持たせています。

Apple公式製品ページより

316Lステンレススチールアロイとは?

言葉の意味で分解すると、 316Lステンレススチール+アロイ となり、後者のアロイを先に解説すると、『合金』とか『2種類以上の高分子を含んだ多成分系高分子』を意味するとネット上では記されています。

 次に、316Lステンレススチールを調べてみると、同じ意味合いを持つ言葉として、高耐食ステンレス鋼(SUS316L)という言葉が出てきました。

以上の情報をまずまとめると、

316Lステンレススチールアロイ → 高耐食ステンレス鋼合金ということになりそうです。

なお、高耐食ステンレス鋼(SUS316L)という用語の情報提供元として、金属を扱っている企業サイト、株式会社特殊金属エクセルさん

では、この金属のことを下記のように解説しています。

製品概要・特徴

オーステナイト系ステンレスに分類される鋼種です。

オーステナイト系ステンレス鋼の代表鋼種であるSUS304のニッケル(Ni)含有量を高め、更にモリブデン(Mo)を添加することで、耐食性を上げた鋼種で、特に応力腐食割れや粒界腐食に対して有効です。

また、高耐食性ステンレスはC量が低くNi量が多いので、焼鈍状態の硬度が低く、加工硬化が少ないので、絞り用途としても向いています。

(補足:SUS316Lの“L”はLow carbonを表しています。)

なお、固溶化熱処理状態では非磁性ですが、加工により弱い磁性を持つようになります。

この鋼種はステンレスの中でも、比較的流通量が少ないため入手しにくい材料ですが、弊社ではこのような材料も薄物、特殊寸法、短納期、小ロットで対応しております。

耐食性について

ステンレス鋼は、表面に緻密に形成されたCr(クロム)の極薄い酸化皮膜(不動態皮膜)によって錆が内部に進行することを防いでいるため、優れた耐食性を持っています。

その不動態皮膜の厚さは1~3nm(ナノメートル)程度と極めて薄く、また、不動態皮膜は自己修復機能があるため、通常の環境であれば皮膜が破れても鋼中のCrを使って再生することが出来ます。

なお、不動態皮膜が形成されるためにはCrは11%以上の含有が必要とされています。

しかしながら、不動態皮膜を持っていても、使用環境(海水、塩水など)によってはその一部が破壊され、局部的に腐食が進行することがあります。

SUS316Lに添加されたMo(モリブデン)には、破壊された不動態皮膜を修復する機能があるため、SUS316LはMoを含有していないSUS304よりも耐食性が良くなるのです。

また、ステンレス鋼に少量含有しているC(炭素)についても、耐食性の影響する場合があります。

Cは素地に固溶しているCrと結合しCr炭化物を生成し易く、そのCr炭化物は結晶粒界に析出します。その結果、析出したCr炭化物近傍は低Crとなってしまうため耐食性を低下させ、粒界腐食が発生する原因になります。

SUS316L(L=Low carbon)につきましては、C含有量も低めに調整されています。

※その他、Cr炭化物生成の抑制には、Ti(チタン)やNb(ニオブ)の添加も効果があります。

金属業界での解説を一般的な説明に変換

金属業界の解説文を一般市民の私なりにまとめてみると、

腐食に強く、少し磁気を帯びていてる。

また、腐食の高い耐久性の実現にあたっては、金属の表面にはクロムという皮膜で保護されていて、錆びの侵入を防いでいること。

そして、その皮膜は、自動修復機能も備えていて、再生できるという特性がある。

ただし、海水や塩水に使った状態だと、皮膜自体が破壊されてしまって、錆びが進行してしまうこともある。

316LのLは、Low Carbon → 含有炭素の割合が少なく、そのこと自体が腐食に強い傾向がある

ということがわかりました。

腐食の意味を調べると、

『金属が環境中の酸素・水などとの化学反応によって変質すること。また、その現象。普通、変質部が酸化物やイオンなどのかたちでその表面から失われ、金属材料としての品質が低下する場合をいう。』

とあるので、人間の皮膚から出る汗に常時接している状態でも、比較的その金属性質が変わりにくいもの、

ということも言えるかもしれません。

ダイヤモンドライクカーボン (DLC)

この素材についての情報を参照した、一般社団法人ニューダイヤモンドフォーラムのページによると、

ダイヤモンドライクカーボンという素材の特長として、この素材で鉄鋼材料の表面にコーティングされると、未コーティング状態で通常0.4程ある摩擦係数が、0.1まで摩擦係数が少なくなることで、より削れにくくなることがあります。

なお、本素材が用いられている代表的なものとして、腕時計のベゼルを初めとして、自動車などの機械部品、ハードディスクドライブのディスクとヘッド部、髭剃りの刃やプラスティック容器の内壁があるそうです。

本素材に関心のある方は、下記リンクをご覧ください。

当サイトとしてのまとめ

Apple Watchは、腕時計式ガジェットになり、皮膚に直接触れている時間が長くなることが想像できるので、この316Lステンレススチールアロイ(高耐食ステンレス鋼合金)で作られた本体(ケース)とリンクブレスレットの組み合わせだと、金属アレルギー反応(金属かぶれ)で悩まされるのが比較的少なさそう

といったところでしょうか?

汗でかゆくなったり、かぶれたりは?

実際に、2018年10月下旬からApple Watchを使い始めていますが、特にWatchをつけている手首の皮膚がかゆくなった経験はありません。

2020年5月25日、最高気温が28℃という暑かった日において、会社に出勤する時にApple Watchを腕に付けて出社し、帰宅後に腕の周りを見たら、黒い汚れが付いていました。

しかし、汚れているだけで、時にかゆみを感じることはなく、洗面所で洗い流した後、腕の部分を見ても特にかぶれなどはありませんでした。従って、金属アレルギー反応(金属素材が汗などの水分で分解され、溶け出すことによるかぶれ状態)がでる可能性は低そうだ、と体感しました。

ただし、水洗いのできるものではないと思うので、気温が高くなり、汗も出やすくなる5月から9月までの間は、ベルトの内側を乾いた布などで拭くなどの対策をしないと衛生状態も良くなく、またニオイも気になる季節になるので、オールシーズンでの利用もできなくはありませんが、通気性の良いバンドに変更する方が良いかと思います。

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